日本で食べられているヤマトシジミとは?
日本で昔から健康食品として、また、味噌汁の具や佃煮などで食卓にあがるしじみが、一体どんな所に生息しているのか、どんな種類があるのかなど考えたことはありませんか。
しじみの種類
日本に生息しているしじみにはヤマトシジミ、マシジミ、セタシジミの3種類があります。
そのうちマシジミは淡水に、セタシジミは琵琶湖だけに生息しています。
そしてヤマトシジミは海水と淡水が混じっている汽水域に生息していて、種類によってそれぞれ生息地が異なっています。
日本各地で食用として漁獲されているほとんどは、3種類のしじみのうち一番生息数が多いヤマトシジミです。
しじみというと海に近い河口付近にいるというイメージが強いのはヤマトシジミが汽水域に生息しているからです。
産地によって違いがある
ヤマトシジミは日本各地の汽水域で見られるので、潮干狩りに行かれた経験のある人も多いかと思います。
ヤマトシジミはどこで獲っても同じと思われるかもしれませんが、水質やミネラルなどの栄養状態、気候などの条件によりそれぞれ違いがあります。
ここでは日本国内のヤマトシジミの産地と、それぞれの産地における違いなどを紹介します。
宍道湖(島根県)
しじみといえばここというほど有名です。
松江市と出雲市にまたがっている宍道湖は汽水湖で、日本で最大のしじみの産地です。
その漁獲量は年間4006トン(平成28年)で全体(9583トン)の約4割強を占めています。
宍道湖は潮の満ち引きや降雨などの要因で塩分の濃度や水中の酸素量が変化します。
この厳しい環境の中で生命を維持するために、しじみは体内のグリコーゲンを分解します。
その結果、うまみ成分であるコハク酸が増加し、いっそうおいしいしじみになります。
味だけではなく、大粒で栄養があると評判です。
十三湖(青森県)
岩木川の淡水と日本海の海水が混じっている汽水湖で、他の産地のしじみより栄養豊富といわれています。
その理由は青森の厳しい寒さが関係しています。
寒い時期が長いこの地域のしじみは湖底で寒さから身を守るためにうまみ成分を含め、オルニチン、ビタミンB群、タウリン、カルシウム、鉄、亜鉛などさまざまな栄養成分を蓄えています。
特に1月~2月にかけてのしじみは「寒しじみ」と呼ばれ、小粒ですが身が詰まっていて、栄養豊富でおいしいと評判です。
島根県の宍道湖の漁獲量が水質汚染などにより減少したときには、青森県が漁獲量第1位になったことがあります。
網走湖(北海道)
網走湖は国定公園に指定されていて、環境が守られた湖です。
ミネラルなどの豊富な栄養を含んだオホーツク海の海水と緑豊かな土地からたっぷりの栄養を含んだ水を運ぶ網走川が流れ込み、その栄養を十分に吸収したしじみはまた栄養豊富なことは言うまでもありません。
網走湖のしじみはサイズが大きいのが特徴です。
網走市の漁法では殻幅15mm以上、殻長23mm以上のものでないと出荷できないことになっています。
海外から輸入されるしじみ
しじみは海外からも輸入されています。
輸入先は主に中国、ロシア、台湾、韓国などです。
これらの国で獲れるしじみは種類が異なります。
日本のヤマトシジミはきれいな水を好みますが、輸入されるしじみには汚水の中に生息しているものもあります。
そのため輸入されたしじみは国内産のものより安価ですが、風味や栄養価はヤマトシジミには劣ります。
少々値段が高くてもおいしく栄養のある、そして何より安心・安全な国内産のヤマトシジミを選ぶようにしましょう。